「アイドルマスター シンデレラガールズ」や「アイカツ!」など、数々の人気アニメの主題歌・挿入歌を提供しているMONACA所属作曲家「田中秀和」氏の使用機材についてまとめました。筆者による各機材のレビューもございますので、併せて参考にしていただければ幸いです。
使用機材・解説
○Apple / Mac Pro
Appleが販売しているプロクリエイター向けのハイエンドPCです。価格的にもスペック的にも一般人には必要のないものでしょう。
○Apple / MacBook Pro

持ち運び用ノートパソコンとしてMacBook Proを使用しているそうです。DTM用途でPCを選ぶ際のおすすめスペックは以下の通りです。
- CPU:最新世代 Core i5 以上 / Apple M1
- メモリ:16GB以上(生音中心なら8GBでも可)
- ストレージ:SSD512GB以上(Fusion DriveやHDDは遅いのでオススメしません)
○Kensington(ケンジントン)/ ExpertMouse (Optical Black)
Twitterに投稿されているスタジオを撮影した写真に写っています。Kensingtonのトラックボールはプロにも使っている人が多く、音楽スタジオではほぼ業界標準と言って良いほどの普及率です。同メーカーには「Slimblade」というモデルもありますが、この二つの主な違いとしては「ExpertMouse」が黒いリングを回してスクロールをする一方で、「Slimblade」はボール自体を横回転させることでスクロールするという違いがあります。どちらが良いかはお好みです。
○Apple / Logic Pro X
○AVID(アビッド)/ Pro Tools
基本的な作業手順としては、打ち込みからアレンジまで全てを「Logic」で行い、出来上がったプロジェクトを「ProTools」に出力して最終的な調整を行う、というものだそうです。ProToolsに書き出す理由としては、ProToolsが波形編集に特化していることや、ミックスエンジニアにデータを渡すためでしょう(音楽制作の現場ではProToolsが主流です)。
○Roland / EDIROL・UAシリーズ(現行種:Rubixシリーズ)
Rolandがかつて販売していたEDIROLシリーズのオーディオインターフェイスを使用していたそうです(詳しい型番はわかりませんでした)。EDIROLシリーズは2010年にRolandブランドへと統合されており、事実上の後継種としては2017年から販売開始となった「Rubixシリーズ」が該当します。ラインナップとしては、4in4outの「Rubix44」、2in4outの「Rubix24」、2in2outの「Rubix22」がありますが、仮に自宅で使用するのであれば「Rubix22」が最適ではないでしょうか。
○RME(アールエムイー)/ Fireface 400(後継種:Fireface UCX)
かつてRME社から販売されていた「8ch・24bit/192kHz・FireWire接続」のオーディオインターフェイスです。現在は後継種として接続方法をUSBに一本化した「Fireface UC」と、USB接続とFirewire接続の両方に対応した「Fireface UCX」の2種類が販売されています。これらはラック型なため自宅DTMerにとっては中々導入が難しいですが、同じくRMEから販売されている「Babyface Pro FS」であれば机の上に置けるサイズですので、こちらも併せて検討する価値ありです。
○Fostex(フォステクス)/ PMシリーズ モニタースピーカー
田中秀和さんが学生の頃に使っていたモニターがFostexのPMシリーズだそうです。現在でもPMシリーズは販売されており、現行ラインナップにおける入門機としては「Fostex / PM0.1e」があげられます。税込約9,000円と安価な割りに音質が良いため高い評価を得ています。
○SONY(ソニー)/ MDR-CD900ST 密閉型スタジオモニターヘッドホン
実家にて夜中に作曲をすることが多かったようで、ほとんどのモニター作業にはヘッドホンを使用していたそうです。いくつか併用していたそうで、その中の一つがこちらの「MDR-CD900ST」です。1989年に発売されてから現在に至るまで、モニターヘッドホン界の覇権を撮り続けている超定番モニターヘッドホンですね。
○AKG(アーカーゲー)/ K240MK2 セミオープン型ヘッドホン
こちらも世界中のスタジオでよく使われている定番モニターヘッドホンの一つです。先程の「MDR-CD900ST」が密閉型(クローズド)であるのに対し、こちらは半開放型(セミーオープン)なので音の抜けの良さが特徴的です。田中秀和さんはAKGのセミオープン型やオープン型の音質が好きだったようで、好んで使用していたようです。ちなみに開放型(オープン)のヘッドホンもありますので、好みや使用環境に応じて選び分けると良いでしょう。
○AKG(アーカーゲー)/ K702 開放型ヘッドホン
こちらはAKGブランドを代表する「K700シリーズ」の代表作に位置する開放型ヘッドホンです。耳へのフィット性を突き詰めた独自開発の「3Dフォーム・イヤーパッド」を搭載しているため非常に付け心地が良いことや、リケーブルが可能なことから音響マニアからの支持も厚いです。
○SENNHEISER(ゼンハイザー)/ HD800(後継種:HD800 S)
田中秀和さんが現在使用しているのは「SENNHEISER / HD800」です。現在は後継種として「HD800 S」が販売されています。「HD800」は少し低音が弱いという評判がありましたが、後継の「HD800 S」になってからはその弱点も克服され、全ての音域でフラットな出力を発揮してくれるとの評価を得ています。
○ULTRASONE ( ウルトラゾーン ) / Signature DXP
ドイツのミュンヘンに拠点を置く音響機器メーカー「Ultrasone」が販売しているDJ用ヘッドホンです。クラブやライブハウスなど大音量下での使用を想定して設計されているため、田中さんもDJをする際に使用しているそうです。
○Astell&Kern+JH Audio / THE SIREN SERIES – Angie Universal Fit PSM11-ANGIE-RED

AK320と一緒に使っているそうです。Astell&KernとJH Audio(フロリダのオーディオメーカー)が共同で開発したハイエンドイヤホンです。Astell&Kern製品に適したチューニングがなされているため、Astell&Kern製ポータブルプレーヤーと併せて使いたいですね。
○Apple / Airpods Pro
作曲作業ではなく、普段カジュアルに音楽を聴くときに使用しているようです。
○BURSON AUDIO / Conductor V2+(現行種:Conductor 3X Reference)
オーストラリアのメルボルンに拠点を置く「BURSON AUDIO」が販売している、プリアンプ機能を搭載したUSB-DAC内蔵の据え置き型ヘッドホンアンプです。田中秀和さんが使用しているのは一世代前の「Conductor V2+」ですが、現在は後継種として「Conductor 3X Reference」が販売されています。
「ヘッドホンアンプ」というのは、簡単に言えばヘッドホンから聴こえる音を更に高音質にしてくれる機械のことです。そして「USB-DAC」というのはヘッドホンアンプに搭載されている回路(DAC)を指し、その名の通りこの回路が内蔵されているアンプはUSBでPCと接続することができます。普通にヘッドホンをPCのイヤホンジャックに挿すよりも、間にアンプを挟むことでより綺麗な音でPCの音が聞こえるということですね。
○Chord Electronics ( コードエレクトロニクス ) / CHORD Hugo 2
出先での作業にはMacBookProを使っており、その際のヘッドホンアンプとして持ち運び性に優れたHugo2を使っているそうです。音の立ち上がりの良さや、中低域がバランスよく出力されているところがお気に入りなんだそうです。
○NEUMANN ( ノイマン ) / U87Ai コンデンサーマイク
世界中のレコーディングスタジオにおけるハイグレードコンデンサーマイクの大定番モデルです。低域から中音域にかけた太いサウンドと、耳がキンキンならないよう調整されつつも抜けの良い高音域を併せ持ったバランスの良さが特徴的です。
○NEUMANN ( ノイマン ) / M149 Tube
スタジオ録音に最適な真空管タイプのコンデンサーマイクです。高級マイクで知られるNEUMANNの中でもフラッグシップモデルに位置しており、50万円越えという価格から一般消費者向けに販売されているものではないことがわかります。レコーディングスタジオ向けですね(もちろんお金を出せば買えます)。
○STEDMAN ( ステッドマン ) / PROSCREEN 101
ポップガードで有名なアメリカに拠点を置くSTEDMAN社から販売されている定番のポップガードです。安いポップガードと違って布製ではなく金属製なので、より空気を逃がしやすくノイズ軽減性能が高いと評判です。
○SE ELECTRONICS ( エスイーエレクトロニクス ) / SE2200
イギリスのマイクメーカー「SE ELECTRONICS」が販売している単一指向性コンデンサーマイクです。田中秀和さんが使用しているマイクの中では圧倒的に安価で、アマチュアDTMerにも手が届く値段です。また、プロの現場での実用に耐えうる専用のショック・マウントやポップ・ガードが付属します。この価格帯でマイク装備一式がまとめて手に入るのはとても魅力的ですね。
○CASIO ( カシオ ) / SA-46 ミニキーボード
CASIOから販売されている32ミニ鍵盤搭載の大人気ポータブルキーボードです。ちなみにどのくらい人気かと言うと、Amazonで本来3,000円ほどで手に入るはずがコロナの影響で品薄になったことで約7,500円まで釣り上がったことがあるぐらいです。そんな大人気キーボードですが、本製品はMIDIに対応していないためMIDIキーボード代わりには使えませんのでご注意ください。
○ROLAND ( ローランド ) / PCR-500(後継種:A-500PRO)
ROLANDからかつて販売されていたフィジカルコントローラー搭載型49鍵MIDIキーボードです。現在は「A-500PRO」という後継モデルが販売されています。
○VIENNA(ヴィエナ) / VIENNA INSTRUMENTS PRO
田中秀和さん本人のTwitterにて使用が確認できます。こちらはアコースティック楽器の音源ライブラリで有名なVIENNA社が販売している、VIENNA音源ライブラリを再生するためのエンジンソフト「VIENNA INSTRUMENTS(音源付属)」の上位版です。音源付属版では使えなかったスケールエディタやエンベロープタイム・ストレッチを始めとした様々な機能が使えるようになります。VIENNA音源を使っている方は導入必須のソフトです。
○MUSIC LAB ( ミュージックラボ ) / REAL GUITAR 5
ロシアの音源ソフトメーカー「MUSIC LAB」の代表商品である「REAL GUITAR 5」には「REAL GUITAR STEEL STRING」と「REAL GUITAR CLASSIC」の2つの音源が収録されています。「STEEL STRING」は「REAL GUITAR 5」で新たに追加された5種類のアコースティックギターの音色が収録されており、「CLASSIC」は前バージョンである「REAL GUITAR 4」の機能をブラッシュアップした内容になっています。
○Native Instruments ( ネイティブインストゥルメンツ ) / KOMPLETE 12(現在は13)

定番の総合音源ですね。2020年10月に「KOMPLETE13」へと新しくなりました。以前のバージョンをお使いの方向けに、アップグレードパッケージが用意されています。
○FXPANSION ( エフエックスパンション ) / BFD3
ロンドンに拠点を置く音楽系ソフトウェアメーカー「FXPANSION」が販売しているアコースティックドラム音源です。音のリアルさと音作りの幅の広さに定評があるのですが、その反面初心者にとっては少し扱いづらい音源となっています。ドラムの音にこだわりたい人にお勧めです。逆に「なんとなくいい感じの音が出ればいいや」という方には即戦力プリセットが豊富な「Addictive Drums」をお勧めいたします。
○SYNTHOGY ( シンソジー ) / Ivory II Grand Pianos
ピアノ音源に特化したソフトメーカー「SYNTHOGY」のグランドピアノ音源「Ivory Grand Pianos II」を使用しているようです。こちらには「Bosendorfer 290 Imperial Grand」「German Steinway D9 Concert Grand」「Yamaha C7 Grand」の3台の超有名グランドピアノが収録されています。
○Astell&Kern(アステルアンドケルン)/ AK320 ポータブルハイレゾプレーヤー(代替種:A&futura SE200)
韓国のデジタル機器メーカー「アイリバー社」が展開するハイレゾオーディオ機器ハイブランド「Astell&Kern」からかつて販売されていたハイレゾ対応ポータブルプレーヤーです。すでに生産が終了していますが、2021年4月1日現在では一部店舗に新品の在庫があるようです。ちなみに後継種は出ておらず、同価格帯の現行ラインナップとしては「A&futura SE200」があげられます。
参照ツイート・動画・記事

終わりに
いかがでしたか?
これからDTMを始めようと思っている方々や、現在進行系でDTMerの方々の参考になれば幸いです!

個人的に一番好きな曲です。「First Step / 長瀬麻奈(CV:神田沙也加)」