「テレキャスタービーボーイ」をはじめとした数々のヒット曲を持つ人気ボカロP「すりぃ」氏の使用機材についてまとめました。
筆者による各機材のレビューもございますので、併せて参考にしていただければ幸いです。
PC環境
Apple / MacBook Pro 13-inch by 2018
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情報源
以下の動画に「Macbook Pro 13インチ」が映っています。年式は不明ですが、動画投稿日が2018年8月17日なので、2018年モデルより前の物であることは確かです。
空中分解/すりぃ
— すりぃ@6/23東京 (@iii0303_8) August 17, 2018
ちょいアレンジver
自分で弾いてみた
半年振りに立って弾いたから動きギコチナイけどユルシテネ#弾いてみた#拡散希望 pic.twitter.com/MUFkprdbHx
説明
すりぃさんが所有しているMacbookの詳細スペックはわからなかったので、ここでは一般的にDTMで必要とされているスペックを記すに留めます。
以下のスペックを満たせば、大編成のオーケストラアレンジをしない限りは不足を感じることはないと思います。
- CPU:最新世代 Core i5 / Ryzen 5 / Apple M1以上
- メモリ:16GB以上(生音中心なら8GBでも可)
- ストレージ:SSD512GB以上(サブストレージとしてならHDDもあり)
DAW
Apple / Logic Pro X
詳細情報
情報源
Logicのプロジェクト画面が映っています。
花粉症のトラックメイカー pic.twitter.com/DXg1FE3BZd
— すりぃ@6/23東京 (@iii0303_8) February 22, 2019
説明
Appleが開発しているMac OS専用のDAWソフトです。他DAWと比べて価格が安いことや、オールマイティな機能性からプロにも使用者が多いです。
詳しい解説は以下の記事で行っています。
マイク
AKG / C12(現行:C12 VR, Telefunken / C12)
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写真の背景からして、ご自身で所有しているのではなくスタジオの備品かと思われます。
説明
本機は50年代から60年代にかけて製造され、世界で最も優れたコンデンサーマイクと評されている名機です。「We are the World」の収録に使われたことでも有名です。
現在は滅多に出品されることも無く、されたとしても150万から200万円前後というプレミア価格で取引されています。
ちなみに本機の復刻版として、AKG社が「C12VR」を、オリジナルの「C12」が販売されていた時期にAKG社と技術提携関係にあったTelefunken社が「C12」というマイクをそれぞれ販売しています。
ENHANCED AUDIO / M600
詳細情報
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写真の背景からして、ご自身で所有しているのではなくスタジオの備品かと思われます。
説明
2005年にアイルランドで創業したマイク・スピーカー周辺機器メーカー「ENHANCED AUDIO」の名を世界に知らしめた、世界中で人気を博しているマイクマウントです。
共鳴しづらいアルミ製のリングで作られたマウントスクリューとパッドにより、マイクを安定して保持することが可能で、これによりノイズの軽減を始めとした音質の改善を実現しています。
本モデルは直径65㎜までのマイクに対応していますが、更に大きなマイクに対応したバリエーションモデルも販売されています。
AKG / PF80
詳細情報
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写真の背景からして、ご自身で所有しているのではなくスタジオの備品かと思われます。
説明
AKG社が販売している、ボーカル録音用マイクに使うポップフィルターです。直径が13cmなので、市販のほぼ全てのマイクに対応しています(ユニバーサルモデル)。
ギター・ベース
Crews Maniac Sound / STILL ON THE RUN “Tele-Gib”
詳細情報
情報源
2枚目の写真に写っています。
説明
日本のギターメーカー「Crews Maniac Sound」がかつて販売していた「Tele-gib(テレギブ)」です。
テレギブというのは、元々はジェフベックが使っていた「テレキャスターにギブソンのピックアップ(セイモア・ダンカン製)を載せ替えた改造ギター」を指します(他にも細かい改造点が多々あります)。
「Crews Maniac Sound」が販売していた本機は、ジェフベックが使用していたテレギブを、見た目も含めて丁寧に再現したモデルです。
現行ラインナップからは消えてしまっていますが、「Crews Maniac Sound」はカスタムオーダーが可能なのでテレギブを作ってもらうことは可能だと思います。
ギター・ベース用アンプ / エフェクター
歪み系
BOSS / BD-2 Blues Driver
詳細情報
情報源
3枚目の写真に写っています。
説明
名前の通りブルースを彷彿とさせるサウンドから、強めのオーバードライブサウンドを作ることができるBOSSの定番ペダルです。
本機は実際の真空管アンプに搭載されている回路を基に設計したことにより、倍音の豊かなドライブサウンドを実現しています。
また、ノイズを軽減するディスクリート構成で回路が組まれているため、他のエフェクターと併用してクリーンブースターとして使うことも可能です。
BOSS / DS-1
詳細情報
情報源
3枚目の写真に写っています。
説明
1978年にBOSSが初めて販売したディストーションペダルです。現在進行形で世界中で愛されている超定番ペダルです。
ディストーションというと激しい歪みのイメージがありますが、本機はGAINを絞ることでソフトなドライブサウンドも得られますし、勿論GAINを開いていけばエッジの効いたTHE・ROCKなドライブが得られます。
その他
KORG / DT-10(代替:Pitchblack Custom)
詳細情報
情報源
3枚目の写真に写っています。
説明
かつてKORGが10年以上にわたって販売していた大人気チューナーです。チューナーとしての性能はもちろん、設置時の安定感や優れた耐久性によって高い評価を集めていました。
2017年に生産完了品となったものの、あまりの人気に翌年800台限定で再販したというエピソードがあります。
現行品の「PB-AD」はDT-10よりも軽量かつ小サイズとなっている他、トゥルーバイパスへの対応やチューニング精度が向上している等の進化が見られます。
正確な時期は不明ですが、PB-AD も2021年をもって生産が終了となってしまったようです。これで現行のKORG製ペダルチューナーは「Pitchblack Custom」のみとなりました。
2022年10月23日に、Pitchblack Seriesの後継となる「Pitchblack X Series」が発売されました。ストンプペダル型のX、スイッチとディスプレイが一体となったXS、小型のX mini、そしてラック型のX Proの4種類がラインナップされています。
ソフトウェア音源
マルチ音源・バンドル
Native Instruments / KOMPLETE 13
詳細情報
情報源
殆どkompleteです!
— すりぃ@6/23東京 (@iii0303_8) March 22, 2019
説明
音楽制作に必要なあらゆるサウンドを全て備えた業界標準の総合音源です。このバンドルとDAWだけで曲を作っているプロもいるほどです。
収録されている音源やエフェクトの数によってグレードが分けられているので、予算に合わせて選ぶとよいでしょう(後から上位版へアップグレードが可能です)。
ちなみに無印版には、68個のインストゥルメント&エフェクトに、24種類のExpansions(サンプルパック)という、合計で35,000以上のサウンドが収録されています。
ボーカル音源
CRYPTON / 鏡音リン・レン V4X バンドル
詳細情報
情報源
ボカロ楽曲では全て鏡音リン・レンが使われています。
説明
声優「下田麻美」さんの声を元に作成された人気ボカロライブラリ「鏡音リン・レン」の「VOCALOID 4」音源です。日本語音声だけの無印版と、英語音声も同梱されたバンドル版の2種類が販売されています。
女性の「リン」と、男性の「レン」という得意な音域や雰囲気の異なった2つの歌声が収録されているため、楽曲によって使い分けることが可能です。
付属のボーカルエディターソフト「Piapro Studio」はDAWのプラグイン(VST/AU対応)として起動することができるので、非常にシームレスな作業が可能です。
ソフトウェア・プラグイン
歪み系
Waves / MaxxBass
詳細情報
情報源
以下のインタビュー記事に、「ミックスのために初めて購入したプラグインがWAVES Gold Bundle」であり、中でもMaxxBassとVitaminは今でもお気に入りだという記述があります。
説明
Wavesが開発・販売している、低音域の補強に特化したエンハンサー・プラグインです。
本プラグインは、オーディオ信号に対し、音響心理学の理論に基づいて算出された複数の倍音成分を加えることで、あたかも低音域が強くなったかのよう知覚(錯覚)させることができます。
一般的なEQやコンプのように実際に低音域をブーストするわけではないので、原音の持つキャラクターを損うことなく低域を強化できるというわけです。
設定によっては、原音が本来持っている低音域よりも低い低音域を”加える”ことができます(実際に加えているわけではない)。
Waves / Vitamin Sonic Enhancer
詳細情報
情報源
以下のインタビュー記事に、「ミックスのために初めて購入したプラグインがWAVES Gold Bundle」であり、中でもMaxxBassとVitaminは今でもお気に入りだという記述があります。
説明
Vitamin Sonic Enhancerは、Wavesが開発・販売している多機能エンハンサー・プラグインです。5本の独立した帯域別スライダーを上下するだけで、簡単にエンハンス効果が得られます。
原音とエンハンス処理後の音のブレンド(パラレル処理)も可能なほか、バンドごとに調整できるステレオイメージャーも搭載されています。
わかりやすく言うと、Vitaminは、パラレル処理が可能なEQ、コンプレッサー、サチュレーション、そしてステレオイメージャーを組み合わせたようなプラグインです。これらのエフェクト効果を簡単に制御できることから、Waves製プラグインの中でも非常に人気があります。
その他
ZOOM / R8
詳細情報
情報源
4枚目の写真に写っています。
説明
8トラック分のレコーディングが可能なレコーダー、2in/2outオーディオインターフェース機能、DAWコントローラー、ドラムパッド付きのサンプラー、10種類のドラムキットを備えたリズムマシンを統合した音楽制作システムです。
他にも数々の機能がありますが、本機を一言で言うならば「PCでDAWを立ち上げなくても簡単な楽曲制作が可能なハードウェア」です。DAWの主要機能を詰め込んだハードウェアという認識でよいと思います。
数ある機能の中で個人的にいいなと感じたのは、ギター用モデリングアンプを含む全146種類のエフェクトが内蔵されている点です。
これにより、別途エフェクターを用意せずとも様々な音作りが可能なので、持ち運びがしやすく出先でも活躍してくれそうだなと感じました。
関連記事・雑誌
Sound&Recording Magazine 2022年9月号
詳細情報
説明
本雑誌に掲載されている特集記事「ボカロPに学ぶ調声テクニック」にて、Piapro Studio(エディターソフト)を使った鏡音リンV4Xの操作法について、すりぃ氏が解説しています。
おすすめの1曲
テレキャスタービーボーイ(long ver.) / すりぃ feat.鏡音レン