- 中高音域が非常にクリア。
- 快適な装着感。
- リケーブルが可能。
- 使用環境によっては低域不足を感じる。
解説
「K702」は、AKGを代表する開放型モニターヘッドホン「K701」のマイナーチェンジモデルです。K701と並んで、定番の開放型モニターヘッドホンとして人気があります。
本機のメリット・デメリットについて詳しく解説したのち、K701との違いにも触れます。
メリット
中高音域が非常にクリア
K702は他の「700/studioシリーズ」同様、「フラットワイヤー・ボイスコイル」、「TWO-LAYERダイヤフラム」、「バリモーション・テクノロジー」といった、AKG社独自の技術を採用しています。
これらの技術により、クリアでキレのある中高音域再生を実現しています。
- フラットワイヤー・ボイスコイル
リボン線と呼ばれる扁平状のワイヤーを縦長方向に巻き上げて作ったボイスコイルのこと。一般的な丸線を使ったボイスコイルと比べて線積率(コイルの断面積に対して線材が占める割合)が高いため、より優れた過渡特性を実現する。ただ、線材自体の加工と巻き上げに高度な技術が求められるため、製造コストが高くなる傾向にある。
- TWO-LAYERダイヤフラム
振動の減衰特性が異なる2種類の素材を重ねて作った、二層構造のダイヤフラム(振動板)のこと。一方の層が振動板の動きを最適化し、もう一方の層がダイヤフラムの不要な振動を抑える役割を担っている。一般的なダイヤフラムよりもクリアでキレのある中高域再生を実現している。
- バリモーション・テクノロジー
ダイヤフラムの厚みを中心部と外縁部で変えることでダイヤフラムの動きを均一にする、AKG社の特許技術。厚みを持たせた中心部の「SOUND ZONE」は、高域の歪みの原因となる分割振動1ダイヤフラムの外縁部と中心部で振動の速さや大きさに差異が生じてしまう現象のことで、高域性能を劣化させる原因となる。を抑制し、極めてクリアな高音域を実現する役割を持つ。一方で薄くされた外縁の「MOVEMENT ZONE」は、高域再生時には「SOUNDZONE」 の動きをサポートし、低域再生時には「SOUND ZONE」と一体となって動作することで、迫力のあるサウンドを出力する役割を持つ。
快適な装着感
セルフアジャスト機構によるスムーズな脱着や、肌触りの良いベロア製イヤーパッドと通気性に優れたオープンハウジングの組み合わせにより、長時間の使用も快適となっています。
特にセルフアジャスト機構については、一度体験すると便利すぎて他の手動調整ヘッドホンが嫌になるレベルで便利です。数字付きの段階調整ならまだしも、無段階調整のものは発狂するようになります。笑
- セルフアジャスト機構
頭の大きさに合わせてヘッドバンドを自動で調整してくれる機構。多くのAKG製のヘッドホンに採用されている。
ヘッドバンドのスライダー部とハウジング部をラバーループ(紐ゴム)で繋ぐことで実現しているため、経年劣化でゴムが伸び切ってしまうとアジャスト機構が機能しなくなってしまうという難点がある。すぐに伸び切るものではないものの、中古で購入する際は注意が必要。
リケーブルが可能
K702には標準で3.0mのストレートケーブルが付属しますが、着脱できるので断線した際に交換したり、あるいは好きなケーブルに交換(リケーブル)することができます。
ヘッドホン側の端子は、抜けにくくて耐久性にも優れたMini-XLR端子が採用されています。プレイヤー側の端子は3.5mmステレオミニジャックですが、6.3mm標準プラグへの変換プラグが付属しています。
デメリット
使用環境によっては低域不足を感じる
中高音域のクリアさと比べると、低域が若干弱く感じられます。特に、スマホやPCに直挿しした際により顕著に感じられます(感度が低くインピーダンスが高いため)。
ただ、この低域の不足感はヘッドホンアンプを介すことで改善できますので、大きなデメリットではないでしょう。
K701との違い
K701とK702は、インピーダンスや周波数特性を含めたスペック上の数値は全く同じものの、K702の方がわずかに低〜中音域が強く聴こえる傾向にあります。
また、K702はボディカラーが汚れの目立ちにくいネイビーに変更されたほか、ケーブルが着脱可能となっています。イヤーパッドやセルフアジャスト機構などの仕様は一緒です。
従って両製品の違いは「①音の傾向、②カラー、③リケーブルの可否」の3点となります。どちらを選ぶかは好みですので、可能であればお店で試聴してみることをオススメします。
以前はK702の方がK701よりも1000〜2000円ほど高かったものの、2022年10月11日現在は値段が全く一緒になっています。