ボカロP「ハチ」として音楽活動を開始し、現在はシンガーソングライターとしてJ-POPを代表する存在となった「米津玄師」氏の使用機材についてまとめました。
筆者による各機材の解説もございますので、併せて参考にしていただければ幸いです。
PC環境
Apple / Mac
詳細情報
情報源
Logic Pro を使っていることから、Macを所有していることは間違いありません。モデルについては不明でしたが、レコーディング現場などに持ち運んでいるでしょうから、Macbook Proを使っている可能性が高いです。
DAW
Apple / Logic Pro
詳細情報
情報源
Instagramに投稿された動画に、Logic Pro もしくは Garageband の画面が映っています。
また、過去行われたインスタライブにて「ずっと Logic Pro を使っている」と言う発言もあったため、下記動画に写っているのはGaragebandではなく Logic Pro で確定だと思われます。
説明
Logic Pro は、Appleが開発しているMacOS専用の音楽制作ソフト(DAW)です。世界的にも使用者が多く、Mac使いの方であれば真っ先に第一候補として上がるソフトです。
詳しくは以下の記事で解説しています。
ヘッドホン・スピーカー
SONY / MDR-CD900ST
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マイク
NEUMANN / U87ai
詳細情報
STEDMAN / PROSCREEN 101
詳細情報
ギター・ベース
Fender Custom Shop / INORAN JAZZMASTER #1 LTD
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情報源
以下のライブ映像(2019年のライブツアー)にて、本製品を弾いている米津さんの姿が確認できます。
説明
「INORAN JAZZMASTER #1 LTD」は、2011年にFender Custom Shopから発売されたリリースされたINORAN(LUNA SEA)のシグネイチャー・モデルです。
著名マスタービルダーであるデニス・ガルスカ氏によって製作された本モデルは、米津玄師さんをはじめとするプロのギタリストからも高い評価を受けており、中古市場ではプレミア価格がつくほどの人気を博しています。
その人気を受けて、発売から8年が経った2019年6月22日に50本限定で再生産されたのち、続く同年10月24日には、本モデルを基にした廉価モデルが「Made in Japanシリーズ」から発売されました。こちらの廉価版は2022年12月末現在でも新品で購入可能です。
2022年夏に、各楽器店が個別に再オーダーした「INORAN JAZZMASTER #1 LTD」が数本だけ発売されたようです。値段は当初の55万円から72~75万円まで値上げされていましたが、入荷直後に即完売となったようです。
Gibson / ES-335
詳細情報
情報源
下記ツイートの添付写真に本製品が写っています。
新しいギターで録音中。 pic.twitter.com/v9APktEUQv
— 米津玄師 ハチ (@hachi_08) February 17, 2015
説明
GRETSCH / G6128TCG Duo Jet Cadillac Green
詳細情報
情報源
下記ツイートの添付写真に本製品が写っています。①ダイナソニック(シングルコイル)PUを搭載している、②ハンプブロック・インレイ、③ボディカラーがグリーンといった特徴から「G6128TCG Duo Jet Cadillac Green」だとわかります。
新しいギターで録音中。 pic.twitter.com/v9APktEUQv
— 米津玄師 ハチ (@hachi_08) February 17, 2015
説明
「G6128TCG Duo Jet Cadillac Green」は、1957年に少数のみ生産された「デュオ・ジェット」の「キャデラック・グリーンカラー」のリイシュー・モデルです。2000年代後半から2010年代前半まで製造されていた様です。
グレッチのギターは、1958年以降フィルタートロン・ピックアップ(ハムバッカー)が主流となっていますが、本機種は1940年代後半から1958年にかけてスタンダードなピックアップとして採用されていた「ダイナソニック・ピックアップ(シングルコイル)」が搭載されています。
他にも、White Penguinを始めとした上位モデルと同じ「シンクロソニック・ブリッジ」や、高級感のあるゴールドパーツ、そして指板にはハンプブロック・インレイを施すなど、復刻の再現度が非常に高いです。
2017年4月頃には「G6128T-57 Vintage Select ’57 Duo Jet with Bigsby」に代替わりしたようで、基本的な仕様はそのままなようですが、ビグスビーがグレッチ専用のV-Cutから汎用の「BIGSBY / B3G」へと変更されたほか、右肘が当たる部分にアームレストが追加されています。
ギター・ベース用アンプ / エフェクター
ダイナミクス系
MXR / M102 Dynacomp
詳細情報
情報源
以下のインタビュー記事に、本製品を足元にセッティングしている写真が掲載されています。
説明
「M102 Dynacomp」は、1972年の発売から現代に至るまで、世界中のギタリストから多大なる支持を集めている大定番コンプレッサー・ペダルです。
音色の変化が顕著で、その独特なパーカッシブ・サウンドから俗に「パコパコ系」と呼ばれています。
ノブが2つ(Output / Sensitivity)というシンプルな構造で、容易にサウンドメイクが可能です。
歪み系
BOSS / BD-2
詳細情報
情報源
「Lemon(映像盤)」に付属する2018年度の武道館公演映像を見ると、米津さんの足元のエフェクターボードに本製品が組み込まれているのが確認できます。
説明
Bondi Effects / Del mar overdrive
詳細情報
情報源
「Lemon(映像盤)」に付属する2018年度の武道館公演映像を見ると、米津さんの足元のエフェクターボードに本製品が組み込まれているのが確認できます。
説明
オーストラリアのブティックペダルメーカー「Bondi Effects(ボンダイ・エフェクト)」がかつて製造していた、TS系のオーバードライブペダルです。
本ペダルの特徴としては、セッティングの幅広さによる汎用性の高さがあげられます。GAINを0にしてLEVELを上げれば原音を活かせるクリーンブースターとして、GAINを上げていけばクランチからオーバードライブまでを柔軟に出力することができます。どんなセッティングでも原音を損いにくく、輪郭のあるサウンドを実現します。
更に、2バンドEQ(BASS/TREBLE)に加えて、Bondi Effects独自の2-wayボイシング・トグルスイッチが用意されており、コンプレッション感とミドルの強いサウンド(UP)と、フラットで煌びやかな特性を持つサウンド(DOWN)を切り替えることができます。
2017年10月からは、後継機となる「Breakers Overdrive」が販売されています。ただ「Del mar」の後継機ではあるものの回路設計は全く異なっており、より深い歪みとリッチなサウンドが特徴となっています。基本的なトーンの傾向の操作性はそのままに、より汎用性が高くなったという認識で良いでしょう。
モジュレーション系
Electro-Harmonix / Small Clone
詳細情報
情報源
以下のインタビュー記事に、本製品を足元にセッティングしている写真が掲載されています。
説明
ニューヨークに拠点を置く老舗プロセッサー・メーカー「ELECTRO-HARMONIX」のアナログ・コーラスです。70年代にカート・コバーンが愛用していたことでも知られています。
切り替え可能な2種類のDEPTHプリセットや、ダブリング効果11つの原音に対して複数の音が鳴っているように聴こえる効果のこと。左右にパンを振り分け、再生タイミングを少しだけずらすことで得られるを得やすい独自設計によって、クリアで高級感と立体感のあるサウンドから、ロータリースピーカー2モーターを使ってツイーター用のホーンとウーファー用のローターを回転させることによりコーラス効果を発生させ、音に広がりを与える仕組みを持つスピーカー。のようなサウンドまで生み出すことが可能です。
BOSS / CE-2
詳細情報
情報源
「Lemon(映像盤)」に付属する2018年度の武道館公演映像を見ると、米津さんの足元のエフェクターボードに本製品が組み込まれているのが確認できます。
説明
BOSS CE-2は、1979年10月〜1982年11月までの短い期間のみ製造されていたアナログコーラスペダルです。今では世界的なスタンダードと化したギターアンプ「Roland Jazz Chorus(1975年発売)」のコーラス/ビブラート・サウンドを再現した「CE-1」のアップデートモデルとして登場しました。
CE-1と比べると、サウンドの傾向はそのままにノイズ対策が強化されたことや、筐体が小さくなったこと、そして価格が安くなって買いやすくなったという進化が見られましたが、出力がモノラルのみとなっていました。この点が、CE-2が短命に終わった理由の一つだと言われています。
ステレオ出力を搭載した後継の「CE-3(1982年10月発売)」や現在も販売されている「CE-5(1991年11月発売)」と比べ、CE-2はより音が太く爽やかであると評価されており、長らく中古市場ではプレミア価格で取引されてきました。
こうした根強い人気を受け、2016年8月27日には技クラフトシリーズより「CE-2W」が発売されました。CE-2Wは、CE-2のみならずCE-1のサウンドも再現できるマルチモードを搭載している他、オリジナルと同じ部品を使ったことによる再現度の高さが評価されています。
空間系
Strymon / blueSky
詳細情報
情報源
「Lemon(映像盤)」に付属する2018年度の武道館公演映像を見ると、米津さんの足元のエフェクターボードに本製品が組み込まれているのが確認できます。
説明
「Strymon / blueSky」は、3種類の異なるリバーブ・アルゴリズム(plate/room/spring)と、それぞれのキャラクターを変更する3種類のリバーブ・モード(normal/mod/shimmer)を搭載したリバーブペダルです。
本機は高い処理性能を持つSHARCプロセッサ(ADSP-21375)に加え、24bit/96kHz AD/DAコンバーターを採用したことにより、ラック型リバーブと遜色ないリバーブ効果を実現しています。
中でも「shimmerモード3リバーブ音に原音のオクターブ上の音を繰り返し重ねていくモード。」は、Strymonが世界で初めて開発したリバーブ・アルゴリズムであり、まるでシンセサイザーのような煌びやかなサウンドが得られることから、本機は瞬く間に世界的ヒットを記録しました。
2022年7月からは、アップグレード版となる「bluesky V2」が販売されています。主な変更点としては、shimmerを独立コントロール化したこと、それに合わせてMODEスイッチを廃し、代わりにモジュレーションの深さを切り替える「MOD スイッチ(off/light/deep)」を搭載したこと、そしてMIDI機能への対応が挙げられます。
その他
KORG / DT-10
詳細情報
情報源
以下のインタビュー記事に、本製品を足元にセッティングしている写真が掲載されています。
説明
かつてKORGが10年以上にわたって販売していた大人気チューナーです。チューナーとしての性能はもちろん、設置時の安定感や優れた耐久性によって高い評価を集めていました。
2017年に生産完了品となったものの、あまりの人気に翌年800台限定で再販したというエピソードがあります。
現行品の「PB-AD」はDT-10よりも軽量かつ小サイズとなっている他、トゥルーバイパスへの対応やチューニング精度が向上している等の進化が見られます。
正確な時期は不明ですが、PB-AD も2021年をもって生産が終了となってしまったようです。これで現行のKORG製ペダルチューナーは「Pitchblack Custom」のみとなりました。
2022年10月23日に、Pitchblack Seriesの後継となる「Pitchblack X Series」が発売されました。ストンプペダル型のX、スイッチとディスプレイが一体となったXS、小型のX mini、そしてラック型のX Proの4種類がラインナップされています。
Musicom LAB / EFX LITE 62M
詳細情報
情報源
「Lemon(映像盤)」に付属する2018年度の武道館公演映像を見ると、米津さんの足元のエフェクターボードに本製品が組み込まれているのが確認できます。
説明
EFX LITE 62Mは、スイッチャーを中心に手がける韓国のMusicom LAB社が、現行のフラグシップ機「EFX-VI」の2世代前に当たる「EFX MKⅢ+」の廉価版として発売したプログラマブルスイッチャーです。
2015年末に発売されましたが、現在は生産終了となっています。類似製品としては、「BOSS / ES-5」などが挙げられます。
その他
KORG / D3200
詳細情報
情報源
以下のブログ記事に、14歳頃に本製品を購入して使っていたとの記述があります。
説明
かつてKORGが製造していた、最大32トラックの同時再生と16トラックの同時録音が可能なマルチトラックレコーダーです。
豊富な内蔵エフェクトや、セッション・ドラムスというリズム・ジェネレーターを搭載しており、発売当時(2005年)としては安価なMTRとして一定の人気を博しました。
YAMAHA / QY100
詳細情報
情報源
以下のブログ記事に、先述のD3200と一緒にQY100を使っていたとの記述があります。
説明
かつてYAMAHAから販売されていたモバイルシーケンサーです。525音色&22種のドラムキットに加え、リバーブ/コーラス/バリエーションの3系統エフェクトを内蔵しています。
他にも、選ぶだけで再生可能な768種類もの本格的なバッキングパターンや、16トラックのシーケンス機能など、小さな本体からは想像できないほど多くの機能を有しています。